京都金属工芸協同組合

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匠に聞く

京の匠をたずねて
京都御所の南。昔ながらの町家で代々青銅器づくりに励む秦蔵六氏。
江戸時代より受け継ぐ金属工芸の技や魅力についてうかがいました。


手間を惜しまない匠の技
秦蔵六氏は、青銅器の創作で名高い金工師です。文久年間(1861〜64)、初代が鉄瓶製作で有名な龍文堂の門下で鋳金(ちゅうきん)の技術を学んだ後、独立。江戸期には孝明天皇の御印や将軍・徳川慶喜の黄金印、明治に入ってからは天皇御璽・大日本国璽(印鑑)の鋳造など国を代表する仕事を手がけてきました。以後、代々「蔵六」の名と伝統の鋳金技法を継承し、金属工芸の第一人者として今日に至っています。
金属工芸の数ある技法のうち、秦氏が得意とするのは鋳金です。その中で最も高度な「蝋型(ろうがた)」といわれる技法を受け継がれています。蝋型とは文字通り、蝋で原型を形づくります。原型ができたら、それを土で覆い加熱して溶かし出します。その中に溶かした金属を流し入れ、冷やして固まったところで土を割ります。すると中から、蝋で作った原型と同じ形の金属が姿を現すという、こういう仕組みになっています。わざわざ作った原型をそのつど流し出しますので、一つの型から一つの作品しかできない非常に手間のかかる技法なのです。
 
代表作を前に語る秦蔵六氏。
代表作を前に語る秦蔵六氏。


手間を惜しまない匠の技
蝋を溶かし出し、金属を流し入れる。「蝋型技法は一見、この工程がクライマックスに思われるようですが、実はこの工程を境に前工程と後工程にとても時間がかかるんです」と秦氏。まずは前工程。蝋で作る原型が最終的に作品の形となりますので、この段階で丁寧に作っておかないと後の仕上がりに響きます。「柔らかい蝋を使って一つ一つ自在に原型を作るので、細かい部分まで形づくれるんですよ」秦氏の作品は精緻な文様が特徴ですが、それはこの技法を駆使してこそ成せる仕事です。
そして、後工程。流し入れた金属が冷え固まり、土を割った後の工程です。中からは蝋で作った原型と同じ形の金属が姿を現しますが、決して出来上がり作品のような美しい姿ではありません。何千年もの時を経て出土されたような状態なのです。この荒れた素地の肌をきれいに削って何度も何度も磨く。金属の鈍い光が放たれるまで大変地道な作業が続きます。秦氏はこの仕上げに徹底的にこだわるそうです。「見えへんところまでやってしまいますね」と照れ笑い。なめらかな地肌の美しさは、こうした匠の技によって生まれるのです。
 
金属が冷え固まり土を割った状態
金属が冷え固まり土を割った状態。
ここからきれいに削って何度も磨きをかける。

完成作品
完成作品。
磨きによって生まれる金属独特の光沢が美しい。


京都で培われた蔵六の美
代表作は、「中国の殷周時代に盛んに作られた青銅器の写し」という秦氏。写しといっても、その作品群は単に模倣ではありません。古代中国の青銅器が醸し出す美しさを汲みとり、それを我が物にして自在に形づくるという、いわば創作なのです。そこには、中国の青銅器とは異なる趣があります。「京都の金属工芸はどことなく美しい。形であれ意匠であれ、洗練されていますね。仕上がりもきれいです。うちには代々が金属板に起こした文様の型がたくさん残っていますが、これが伝統のありがたみだと思います」伝統を尊びながら現代性を加味した作品づくりにも余念がない秦氏。特に、時を経て金箔が剥がれ落ちたような意匠は独自の作風です。古色を帯びつつ所々散りばめられた金箔の輝きが、重厚感のある青銅器に華やかさを添えています。金属工芸は時間が経つにつれ味わいが出るものと知った、秦氏ならではの仕事といえるでしょう。
江戸期より百四十年余。いつの時代も金属の持つ美しさを最大限にひき出した「秦蔵六」。今も変わらず京都の町家で、一つ一つ丹念に新たな青銅器が創られています。
 
代々が作った金属板の文様型
代々が作った金属板の文様型。柔らかい蝋を押し付けて文様をかたどる。古代中国の祭器に施された厄除けの獣面文「饕餮文(とうてつもん)」などがみられる。

秦氏の作品群
秦氏の作品群。精緻な文様の青銅器や金箔が剥がれ落ちたような作風の花器、シンプルな一輪挿しなど多彩な仕事ぶり。この他、大作も手がける。


六代・秦蔵六 六代・秦蔵六(はたぞうろく)

1952年生まれ。同志社大学文学部卒業後、父である五代目のもとで伝統の鋳金技法を身につける。以来、古代中国器の意匠から美のエッセンスを抽出し、個性豊かな青銅器を創作。また、時を経て金箔が剥がれ落ちたような意匠は独自の作風で、現代性を加味した作品を数多く手がける。京都金属工芸協同組合理事長。


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